咲：ねぇお兄様、何で急に函館山に行くの？
明：あぁ、それは…。咲耶にどうしても伝えたいことがあるから…。
咲：それなら別に…、かしのき公園でもいいじゃない？
明：でも…、これはとても大切な事なんだ。だから…。
咲：…分かったわ。じゃあ、そこに着いたらお話してくれる？
明：もちろん！そのつもりさ。

そして僕らは、羽田発函館行きの飛行機に乗り、そこから路線バスなどを利用して函館山に到着した。
函館山の展望台についた頃には、函館の街はすっかり闇に包まれていた。

咲：うわぁ…、久しぶり。この展望台から見る夜景って、いつ見ても素敵ね♥
明：そうだろ？　でも…、２年ぶりくらいかな？　ここに来たのって…。
咲：そうね。その時はクリスマスイヴだったしね。
明：うん。
咲：あ…、そうだ。ねぇお兄様、そろそろ話してくれる？
どうして私をここに連れてきたのかを…。
明：…分かった。すべて話すよ。実は僕…、知っているんだ。
咲：知っているって…、何を？
明：僕たちは、本当の兄妹じゃないって事…。
咲：…そう。お兄様も気付いたのね。
明：え？　と、言う事は咲耶も？
咲：えぇ…知っていたわ。でも…、その事を話したらお兄様はきっと悩んでしまうだろうって…。
明：…そっか。咲耶も同じ気持ちだったんだね。
咲：え？
明：その事を知った時、僕は…この胸の中にある咲耶への想いが疼きはじめたよ。
咲：お兄様…。
明：僕にとって今の咲耶は…、一人の女の子としか…思えないんだ。
咲：お兄様、それじゃあ…。
明：あぁ。だから咲耶…僕は今、ここで告白するよ。僕は…僕は咲耶の事が好きだ。
これからは…、その…、ぼ…僕の生涯のパートナーになってほしいんだ…！
咲：お兄様…、それ、プロポーズなの？
明：あぁ…、ちょっと照れくさいけど…ね。
咲：…待ってた。
明：え？
咲：嬉しい♥　私…、その言葉をずっと待っていたのよ♥
明：…と言う事は、僕を受け入れて…くれるんだよね？
咲：えぇ、そうよ♥　お兄様、私と結婚しましょ♥
明：も…、もちろんだとも！
四：キャッホー、兄チャマ！　おめでとうデスー！
明：…って四葉！　いつからそこにいたんだ？
四：クフフゥ♥　兄チャマ、ここにいるのは四葉だけじゃないデスよ♥
明：え？　…って事は…。
鈴：ヤッホー、アニキ！　結婚おめでとう！
明：り、鈴凛までいたのか？
春：兄君さま、ワタクシたちのことを忘れてもらっては困りますわ♥
明：み、みんな。
可：お兄ちゃん、ごめんなさい。
あの後、可憐たちは別の飛行機でお兄ちゃんたちを追いかけてきたの。
雛：“せっかくだから、現地でお祝いしよう”って四葉ちゃんが言うから…。
ヒナたちも一緒について来ちゃった♥
明：それで、全員がここにいるって訳か。まったく…、とんだおてんば娘だな、四葉も。
四：クフフゥ♥　兄チャマをチェキするためなら、例え火の中水の中どこへでも飛んでいくデス♥
明：あはは…、なんか四葉らしいや…。(^_^;)
鞠：咲耶ちゃんとのご結婚、おめでとうございます兄上様♥
わたくしたち妹全員、心より祝福いたしますわ♥
咲：ありがとう、みんな。私、絶対お兄様と幸せな家庭を築いていくわ♥
白：にいさま、せっかくですから誓いのキスなどされではどうですか？
明：え？ち…、誓いのキスぅ？(//▽//)
春：そうですわ。せっかく夫婦（めおと）の契りを結ばれたわけですから、
今ここでその証をワタクシたちにお見せくださいませ♥
明：え、えぇー？　そんな…恥ずかしいよぉー。(//＿//)
咲：いいじゃないのよ、お兄様。さ、早く♥
明：ほ…、ホントにいいの？
咲：えぇ…。
明：…分かった。それじゃあ…。

白雪や春歌に言われるがままに、僕は咲耶の唇にそっと自分のそれを重ね合わせた。
たった一瞬とは言えども、僕にとっては永い時間に思えたのである。
その口付けが終わると、咲耶はこう呟いた。

咲：うふふ♥　ありがとう、ダーリン♥　これからもよ・ろ・し・く・ね♥
明：あぁ、こちらこそ！

そう。咲耶はこの時、初めて僕を“お兄様”ではなく“ダーリン”と呼んでくれたのだ。
僕はとても嬉しかった。これからは、咲耶の夫でいられる事に喜びを感じずにはいられなかった。
これを機に、僕は心の中でこう誓った。“これからもずっと、咲耶のことを愛し続けよう”と。

そして2003年11月22日、僕らは役所に婚姻届を提出し、この日から、僕と咲耶は法律上夫婦となった。
結婚式およびその披露宴は、２人で話し合った結果、11月30日の大安吉日に挙げる事となった。

〜つづく〜