俺の心を映すように空は暗く、まるで涙を流すように大粒の雨が降っていた。
Birthday card in Heaven
作者 黒谷零次さん
薄暗いリビングで俺はソファーに座っていた。テレビをつけてはいるが内容は全く頭に入ってこない。
その代りに頭に浮かんでくるのは最愛の妹だった雛子の事だけだった。
いつも元気に遊び回っていた雛子、そんな雛子と一緒に過ごした時間がまるで映画のように脳裏に浮かんでいた。
「なあ、雛子・・・」
それでも俺はいつも雛子が傍らにいた時のように話し掛けた。
だが、その言葉に返事が帰ってくることは無かった。
そして、雛子の死から立ち直れないまま半年がたったある日、俺宛に一通の手紙が届いた。
それは・・・雛子から俺へのバースデイカードだった。
俺は食い入るようにその手紙を読み始めた。
「 おにいたまへ、おにいたまは元気ですか?
ヒナはおにいたまがいなくてちょっとサミシイけどゲン、ゲン、元気です。
そういえば、この手紙をおにいたまが読んでるってことはおにいたまはおたんじょうびなんだよね?
おたんじょうびおめでとう、おにいいたま
ヒナ、そのときおにいたまと一緒に遊べるかな?
ヒナね、後ちょっとしかおにいたまと居られないんだって、ヒナは遠い所に行くからもうおにいたまとは会えないんだって。
そうだ!もしヒナが居なくてもおにいたまがサビシイサビシイ病にかからないようにヒナが魔法をかけてあげるね。
1、2、3!おにいたまが寂しくなりませんように!
これで、おにいたまはさびしくないよね?
じゃあね、おにいたま
ヒナより 」
それは俺宛のバースデイカードだった。
それ手紙は所々涙で濡れていた、おそらく寂しくてなきながらこの手紙を書いたのだろう。
俺は、その手紙をもったまま1人呟いた。
「ありがとう、雛子 おにいたまはもう大丈夫だよ」
その言葉とは裏腹に俺の目からは大量の涙があふれ出てきた。
だが、もう二度と雛子のことでは泣くまい、泣くのはこれで最後にしよう。
そんな事を思いつつ俺は窓の外を見た。
空は青く高く澄み渡り、太陽の光がさんさんと降りそそいでいた。
〜END〜
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