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「お兄ちゃんの日」プチ騒動

作者 黒鮫建武隊さん


〔ある晩/咲耶から鈴凛へのメール〕
(件名)
今日はどうだった?
(本文)
久しぶりの「お兄ちゃんの日」、たっぷり楽しめた?
明日は、いよいよ私の番!
準備は万端。もう、そわそわしちゃう。
明日一日の行動を、今朝から何回シュミレーションしたことか。数え切れないわ。
お兄様にしてみれば、鈴凛ちゃんと私と二日連続で大変でしょうけど(^^;
あ、ねえねえ、ひょっとして私のこと、お兄様なにか言ってた?

〔鈴凛から咲耶へのメール〕
(件名)
Re:今日はどうだった?
(本文)
まあ、そこそこね。
咲耶ちゃんの話題は、特に出なかったと思うけど。

〔咲耶から鈴凛へのメール〕
(件名)
ちょっと気がかり
(本文)
さっきの返信読んで、何となく気になったんだけど・・・。
鈴凛ちゃん、ひょっとして今日、何かあった?
いつものメールと、感じが違っていたみたいだから。
私の思い過ごしだったらゴメンね。

〔鈴凛から咲耶へのメール〕
(件名)
隠せないなあ・・・
(本文)
あったのよ、実は。
途中までは、すごく楽しかったのよ。楽し過ぎるぐらい。
例によってアニキに散々、付き合ってもらっちゃって。
でもって、これまた例によって、アニキはイヤな顔一つせずに付き合ってくれて。私のお願いは何でも聞いてくれて。
まあ、「お兄ちゃんの日」のアニキは、私たちの誰に対しても、そうしてくれるんだろうけどね。
とにかく私、すっかり舞い上がっちゃっていたわけ。
でね、最後に、夜景がキレイに見える公園に寄ったとでも思ってちょうだい。
いいムードだったのよ。
それで私ね、そのムードにすっかり酔っちゃって。
アニキにね、その、おねだりしちゃったのよ・・・キスしたいって・・・ m(_ _)m ゴメン

あーあ、ガラにも無いこと言って、失敗しちゃったなあ。
「僕たちは、兄妹なんだぞ」なんてさ。
んなこと今更、言われなくたって、身に染みて分かってますよーだ。
アニキの石頭。
兄妹でキスしちゃいけない法律でもあるっていうの?!

と、まあ、それっきり妙にチグハグになっちゃって。
ろくに「お休み」も言えないまま、帰って来ちゃったってわけなの。
で、ブルーに浸っている最中なのでした。

〔兄から鈴凛へのメール〕
(件名)
今夜のこと。
(本文)
怒っているよね?
さっきは、本当にゴメン。
せっかく楽しい一日だったのに、最後に台無しにしちゃったね。
ああ言われて、急だったし、何て答えればいいのかパニクッちゃって。
鈴凛ちゃんの気持ちも考えずに、無神経が過ぎたね。
それで、虫のいい話だって思うけど、明日もう一度、会ってくれない?
やっぱり、ちゃんと会って話せたらって思うから。
返事、待っているよ。

〔鈴凛から兄へのメール〕
(件名)
気にしないで。
(本文)
明日は咲耶ちゃんと約束があるんでしょ?

〔咲耶から鈴凛へのメール〕
(件名)
泣きの涙で溺死しそう(T_T)
(本文)
たった今、お兄様から電話がありましたっ!!
鈴凛ちゃんのメールを先に読んでなかったら、私、卒倒していたわよ。
今だって、倒れないでいる自分が信じられないくらい。
でも・・・お兄様に、あんな苦しそうな声を出されちゃ・・・。
第一、鈴凛ちゃんのことで頭がいっぱいのお兄様とデートしても楽しくないから、今回だけは譲ってあげる(T_T)
身が引き裂かれるような思いとは、このことを言うのね。
とにかく、きっちりすっきり、決着つけてらっしゃい。分かった?!
(ただし、決着のつけ方次第では黙っていないわよ。)

あ、それから今夜はもう、連絡してこないでね。
私、これからヤケ酒あおってフテ寝するんだから!!

〔鈴凛から兄へのメール〕
(件名)
迷惑かけちゃった。
(本文)
アニキにも咲耶ちゃんにも、すっごく迷惑かけちゃったね。
私があんなワガママ言っちゃったから。
でもアニキ。私が、アニキのこと怒るわけないじゃない。
それだけは分かっていて欲しいな。
じゃ、今日と同じ時間に、同じ場所で待っているね。



〔翌日の夜/鈴凛から咲耶へのメール〕
(件名)
ごめんなさい&ありがとう
(本文)
昨日、言えなかったから改めて書くね。
咲耶ちゃん、本当にごめんなさい。そして、ありがとう。
おかげ様で、ちゃんと決着つけられました。

アニキね、「やっぱりキスは出来ない」なんて真顔で言うんだよ(^^;
全くもう。ああいうところがアニキの・・・いいところ(^.^)
「でも、兄妹だからというのは、一番の理由じゃ、ないんだ。
「本当は、鈴凛ちゃんたち12人、みんなのことを同じように好きだから。
「誰か1人だけに・・・そんな風には考えられないんだ。」
だって。
それでね、「キスは出来ないけど、その代わりに」って・・・。
えへへへ、それから先はヒ・ミ・ツ!

で、その話は置いといて。
その間じゅう、なぁんか、物陰からの視線を感じていたのよねー。
四葉ちゃんにしては背の高いあの人影は、いったい誰だったんだろー。

〔咲耶から鈴凛へのメール〕
(件名)
当然、3倍返しよ。
(本文)
> 四葉ちゃんにしては背の高いあの人影は、いったい誰だったんだろー。
いやあねえ、まるで私が二人を尾行していたみたいな言われ方じゃない。
人聞きの悪い。
この私が、そんなはしたない真似するわけないチェキよ(爆

> ちゃんと決着つけられました。
うん。ホント、良かったね。
私もホッとしたわ。
一段落ついたところで、心おきなく言わせてもらいますけど。
鈴凛ちゃんの「お兄ちゃんの日」、向こう3回分、譲ってもらいますからね。

〔鈴凛から咲耶へのメール〕
(件名)
3倍返し?!
(本文)
それだけは勘弁して下せえー、お代官さまぁ〜!

〔鈴凛から兄へのメール〕
(件名)
嬉しかったよ、アニキ・・・
(本文)
アニキ。
昨日と今日、ホントにホントに、ありがとうね。
私ってさ、あんまり女のコっぽくないって自覚あるし。
アニキに資金援助お願いしてばっかりだし(^^ゞ
咲耶ちゃんや可憐ちゃんみたいに、気持ちを素直に言葉にするのも苦手だし。
だから、どこかで焦っていたのかなあ・・・それで夕べ・・・。
でもアニキ、12人みんなを同じように好きだって、言ってくれたよね。
ということはさ、私にもチャンスありって、思っていて、いいんだよね(何のチャンスだろ)。
それに、キスの代わりに、ギュッてしてくれた・・・
アニキの腕の中って、すっごく温かいんだよ。アニキは知らないでしょ。
あの時、なんだかとても、落ち着けたの。スーッて力が抜けて。
ああ、なんにも焦ること無いんだ、こうしていていいんだって。そんな風に思えたの。ホントよ。
ありがと、アニキ。
ワガママばかり言って、お金も手間もかかる鈴凛だけど・・・
これからも、よろしくね!

(おわり)

 


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kurosamekenbutai@hotmail.com
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