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去ってゆく あなた

作者 James Bartonさん


お待ちになって・・・ 


  置いてかないで・・・
              くださいまし・・・
振り返って                            
                止まって・・・

お願いでございます・・・       
        ワタクシを・・・見て

ああ・・・
        あに・・・
              ぎみ・・・

                     さま・・・







いま、私と春歌の目の前にいるのは、寒い季節にがくるとやって来る、赤い提灯のあの車・・・

「へいっお待たせ!!おじょうちゃん、気付いてやれなくて・・・ゴメンヨ!!
 そのお詫びといっちゃあなんだが、これ、オマケしちゃうよっ」
「わぁ、ありがとうございます。」

と春歌は焼き芋屋のおっちゃんから紙袋に入った黄金色に輝くお芋を受け取る。
私の右手には、すでに大き目の紙袋が抱えられている。正直すこし熱いのだが・・・まぁ、ガマンするか・・・

「兄君さま、ありがとうございます。
 兄君さまが焼き芋屋さんをつかまえてくださったおかげで無事に焼き芋を買うことができましたわ。」
「ああ、それはよかった。」

つい先ほど、春歌の声に後ろを振り向くと赤い提灯の焼き芋屋の軽自動車・・・その後ろから切なげな表情でその車を追う春歌・・・大体の状況を察し、車を止めた。

「その・・・兄君さまには、はしたないところを御見せしてしまって・・・あの・・・その・・・ポポポォ」
春歌が顔を赤らめながら焼き芋の入った紙袋の端をもてあそぶ。

「ふふっ、春歌、日本の女性は大体”あまーいあまーいお芋だよ!!”の声には弱いものだよ。
 春歌が日本に馴染んでくれた証拠だよ。」

「まぁ、そんな兄君さま・・・ポポポォ」

「・・・しかし・・・ずいぶん買い込んだな・・・」

「いえ・・・兄君さま、これでも、足りないくらいですわ」
と、春歌が優しげに微笑む。

「焼き芋を抱える兄チャマ!!チェキデースッ!!
 ジャパニーズ スウィート ポテト 四葉もだいすきデース!!
 兄チャマ、春歌チャマ・・・ふたり占めなんて、ダメデスよ!!」
「兄やー、亞ー里ー亞もー甘いのーすきー」

「フフフ、ね、兄君さま」

おっとと日本に馴染んだ帰国子女がここにもふたり・・・

四葉と亞里亞が紙袋の中身を取り出しやすいように腰を低くし、紙袋の中身を差し出す。
すると、ふたりとも、しっかりと袋の中から大きめの芋をえらんで取っていく。ふふ、ちゃっかりしている・・・。

「ああー!!春歌ちゃんたち、ずるーい!!」

このあと、サイフを手にした咲耶を筆頭に、妹達全員に見つかり、家に着くころにはまでには紙袋の中身はすべて妹たちのおなかに収まった。

!!しまった!!

一口も食べてない・・・食いっぱぐれたか・・・

確かに春歌の言うとおり足りなかった・・・か・・・?

「フフフ、兄くん………この黄金色の食べ物は………すべてのおんなのこを………くいしんぼに………してしまうんだよ………」

・・・くっ・・・ぬかった・・・

まぁいいか、焼き芋のおいしい季節は、まだ始まったばかり・・・

次はもっと多めに・・・いや・・・いっそのこと、あのおっちゃんに車ごと家のまえに乗り付けてもらうか・・・


あとがき

個人的に月刊まんがタイムファミリーに連載されている”+1サプライズ”という4コマ漫画が好きだったりします。
で、その単行本1巻を読み返していて・・・(具体的にはp103)
そういえば・・・ポケットストーリーズ3で、春歌が焼き芋を買いに蝦蟇口をぎゅっと握って走り出してたな・・・と・・・

で、3時間後・・・あとがきを書いてたりします。
文章が荒削りなのは、ほんとに荒削りだからだったりします。

話は変わりますが・・・
前に男ふたりで赤い提灯のあの車をとめ、焼き芋を買ってみたところ、あからさまに小さめの芋で冷たくあしらわれました・・・しくしくしく・・・
男女差別反対・・・しくしくしく・・・

たのむから・・・まちがっても衛のことは冷たくあしらわないでくれ・・・

James Bartonさんへの感想はこちら
nmr_ssm@yahoo.co.jp
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